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ハジクとreCAPTCHAの違い|役割分担で考える、併用が前提の理由

reCAPTCHAは「人かボットか」、ハジクは「本物か営業か」。実フォームデータと同じ4通の送信例で守備範囲を切り分け、併用構成としきい値の扱いまで整理します。

公開 2026年7月23日更新 2026年7月23日10
目次INDEX
  1. 01reCAPTCHA は効いています。素通りするのは人が書いた営業だけです
  2. 02観点別に比べる:何を入力にして、何を出力する道具か
  3. 03同じ 4 通を、reCAPTCHA とハジクはどう見るか
  4. 04併用したときの構成
  5. 05どちらか一方で済む場合
  6. 06よくある質問
  7. 07まとめ:明日やること

「reCAPTCHA を入れているのに営業メールが減らない」。これは reCAPTCHA の不具合ではなく、見ているものが違うからです。フォームに届く営業メールを減らしたい問い合わせ担当・Web 担当の方に向けて、reCAPTCHA とハジクの守備範囲を、実フォームデータと実際の送信例で切り分けます。結論は「どちらかを選ぶ」ではなく「役割分担して併用する」です。

reCAPTCHA は効いています。素通りするのは人が書いた営業だけです

reCAPTCHA が答えているのは「人間の操作かボットか」であって、「この文面が営業か」ではありません。

Hajik が分析した、美容商社(国内最大手・上場)の実フォームデータは、3 種類のフォーム・合計 1,894 件・約 20 か月分です。これらはいずれも reCAPTCHA v3 を通過した送信ですが、そのなかに明らかなボット送信は事実上ありませんでした。ボットは実際に止まっていた、ということです。

一方、通過してきた中身の内訳はこうでした。

  • 問い合わせフォーム(534 件):営業(確度高)12.9%、本物らしい 54.9%、判定困難 32.2%
  • 汎用フォーム(1,211 件):営業合計 56.2%、本物らしい 16.5%、判定困難 25.2%
  • 採用フォーム(149 件):65.8% が人材サービスの営業。中途採用フォームに限ると 73.1%

いずれも簡易ヒューリスティックによる分類です。業種・規模・フォームの性格によって比率は大きく変わるため、一社・一時点のサンプルとして読んでください。採用フォームの数字の詳細は採用フォームに人材紹介の営業ばかり届く時の対策で扱っています。

この差は仕様どおりの結果です。reCAPTCHA v3 は 0.0〜1.0 のスコアを返し、公式ドキュメントは 1.0 が良い操作である可能性が高く、0.0 がボットである可能性が高い、と説明しています。しきい値の出発点としては 0.5 が示されています。判定材料はサイト上のふるまいであり、本文のテキストではありません。

人材紹介会社の担当者が、自分の PC のブラウザで、実際に手で入力して送信すれば、それは人間の操作です。スコアが高く出るのは reCAPTCHA が正しく仕事をしているからで、責める筋合いのものではありません。背景はreCAPTCHA で営業メールが減らない理由にまとめています。

観点別に比べる:何を入力にして、何を出力する道具か

優劣ではなく「判定の入力と出力が違う」と捉えると、併用の形が自然に決まります。

観点reCAPTCHA v3ハジク
主な判定対象人間の操作かボットか送信内容(本物か営業か)
判定の材料サイト上のふるまい・端末の挙動日本語の文面と入力項目の整合性
人が書いた営業メールスコアが下がりにくく通過しやすい文脈と営業フレーズで選別
本物の取りこぼし対策スコアを返すところまで(どこで切るかは運用側が設計)既定はブロックせずラベル付け・観察モードあり
導入サイトキー/シークレットキーの設定とサーバー側検証script タグ 1 行(プラグイン・DNS 変更・action 変更なし)
日本語の文脈判断行わない日本語特化で判断
フォーム内容の保管そもそも内容を受け取らないブラウザ内で暗号化して保管(運営者も保管データを復号できない)

行ごとに、なぜそうなるのかを補足します。

判定の材料 — reCAPTCHA はトークンをサーバー側の検証 APIへ送って結果を受け取る仕組みです。公式ドキュメントに載っているパラメータはシークレットキー・トークン・任意の送信元 IP の 3 つで、フォームの本文は渡していません。つまり構造的に、本文を根拠にした判定はできません。ハジクは逆に、本文と入力項目そのものを材料にします。

人が書いた営業メール — 送っているのが実在の営業担当者である以上、reCAPTCHA の観点では「正常な人間の送信」です。通過は誤作動ではなく想定どおりの動作です。

本物の取りこぼし対策 — reCAPTCHA はスコアを返すところまでが役割で、どこで切るかは運用側が決めます。公式ドキュメントもトラフィックとリスク許容度に応じてしきい値を調整するよう案内しており、切りすぎれば本物が落ちます。ハジクは「迷ったら本物扱い」を設計原則にしていて、既定ではブロックせずラベルを付けるだけです。

保管時の暗号化 — ハジクはフォームの内容をブラウザ内で暗号化して保管するため、保管データは運営者側で復号できません。ただし判定の瞬間だけは、内容をそのまま AI に渡します(項目をマスクすると本物の申込が誤判定されるためです)。クレジットカード番号・マイナンバー・銀行口座・パスポート番号・健康情報の 5 種はブラウザ内で除去してから送ります。保管のレイヤと判定のレイヤは別物です。詳細はセキュリティに記載しています。

同じ 4 通を、reCAPTCHA とハジクはどう見るか

4 通とも reCAPTCHA は通過させます。差が付くのは、内容を読んだときだけです。実際に届く 4 通を、それぞれの立場から評価してみます。

1. 人材紹介の営業(採用フォーム宛)

突然のご連絡失礼いたします。貴社の求人を拝見しご連絡いたしました。弊社では即戦力人材のご紹介が可能で、現在ご紹介可能な候補者が複数名おります。ご成約時のみ理論年収の◯◯%を頂戴する成功報酬型です。一度 30 分ほどお時間を頂戴できますでしょうか。

  • reCAPTCHA から見ると — 担当者本人がブラウザで入力しています。人間の操作なので通過します。
  • ハジクから見ると — 「突然のご連絡失礼いたします」「ご紹介可能な候補者」「理論年収の◯◯%」「お時間を頂戴」が揃い、応募フォームなのに応募内容の欄が空です。営業として高い確度でラベルが付きます。

2. Web 制作・SEO の営業(問い合わせフォーム宛)

貴社サイトを拝見しました。現在の検索順位とアクセス数を無料で診断いたします。同業種で流入を 3 倍にした実績があり、業界相場の 1/3 でご提供可能です。まずはお見積りだけでもいかがでしょうか。

  • reCAPTCHA から見ると — 同じく人間の送信で、通過します。
  • ハジクから見ると — 「拝見しました」「無料で診断」「業界相場の 1/3」といった提案側の語彙が中心で、自社の商品名・型番・納期といった、そのサイトでしか成立しない固有名詞が入っていません。営業寄りに倒れます。

3. 本物の問い合わせ(短い一行)

商品ページのシャンプー(型番 XX-1200)は現在在庫ありますか。10 本まとめて購入したいです。

  • reCAPTCHA から見ると — 通過します。ここは両者の評価が一致します。
  • ハジクから見ると — 短文ですが、型番という固有名詞と、そのサイトでしか成立しない具体的な要求があります。本物として扱います。短い=スパム、という判定は行いません。この一行を機械的に弾く設計こそ、いちばん避けるべき失敗です。

4. どちらとも言い切れない 1 通

はじめまして。弊社は内装工事を行っております。御社の商材に興味があり、取り扱いのご相談をさせていただきたくご連絡しました。ご担当者様よりご連絡いただけますと幸いです。

  • reCAPTCHA から見ると — 通過します。
  • ハジクから見ると — 売り込みの型に見えますが、卸・代理店の引き合いなら立派な商談です。同じ文面でも受け手の業種と関係性で答えが変わるため、断定せず「要確認」に置きます。実データでも問い合わせフォームの 32.2% がこの領域でした。ここは人が見る前提で設計するのが現実的です。

併用したときの構成

reCAPTCHA を外す必要はありません。前段はそのまま、後段に内容判定を足すのが基本形です。

  1. 送信ボタンが押される → reCAPTCHA v3 がスコアを返し、サーバー側で検証します。ボットや自動化ツールはここで落ちます。
  2. 通過した送信を、submit の瞬間にハジクが判定 → 本文と入力項目を見て、営業/本物/要確認のラベルを付けます。script タグ 1 行なので、フォームの action もサーバー側の処理も変えません。
  3. 担当者はラベル付きの一覧を見る → 営業はまとめて処理し、本物と要確認だけを読みます。

運用で外してはいけない点が 3 つあります。

  • reCAPTCHA のしきい値は既定のまま動かさない。 営業を止めたくてしきい値を上げても、営業担当者は人間なのでスコアは下がりません。効果が出ないまま、本物の送信だけが弾かれます。しきい値の考え方はreCAPTCHA v3 の設定方法にまとめています。
  • 落ちた送信を、人が見られる状態にしておく。 ハジクは既定でブロックせずラベル付けから始めます。まず観察モードで 2 週間、自社のフォームに何が届いているかを実際のラベルで確認してから、遮断するかを決めてください。
  • 例外を人が上書きできるようにする。 AI で自動処理できるのは 8〜9 割で、残りは人が見る前提です。上書きの操作が管理画面のどこにあるかを、運用開始前に担当者へ共有しておきます。

設置そのものの手順は導入の流れにあります。

どちらか一方で済む場合

届いているものがボットだけなら、reCAPTCHA だけで十分です。ここは正直に書きます。

以下がすべて当てはまるなら、内容判定を足す必要はありません。

  • 届く迷惑送信は、深夜に同一文面が短時間で連投されるタイプが中心である
  • 日本語が壊れている、または本文が URL の羅列である
  • 選択肢やラジオボタンの値が不正、あるいは未入力のまま送られている

逆に、reCAPTCHA を入れているのに以下が続くなら、足りていないのは内容判定です。

  • 日本語として自然な、名乗りのある営業メールが毎週届く
  • 差出人の会社は実在し、サイトもある(=送信元で機械的に切ると危ない)
  • 担当者が「読んでから捨てる」作業に時間を取られている

なお reCAPTCHA を外してハジクだけにする構成も技術的には可能ですが、大量の自動送信はより外側の層で落とすほうが素直です。ボット検知そのものの手法は問い合わせフォームの bot 対策に、置き換えを検討している場合の切り分けはreCAPTCHA の代替を探す前にに書いています。

よくある質問

reCAPTCHA を外してハジクだけにしてもいいですか

推奨しません。両者は競合ではなく前段と後段です。reCAPTCHA は自動送信を減らす役に立っており、外せばその分の送信が戻ります。ハジクの判定で中心になっているのは本文と入力項目の中身なので、機械的な大量送信は外側の層で減らすほうが確実です。

reCAPTCHA のしきい値を上げれば営業メールは減りますか

減りません。営業メールを送っているのは実在の人間で、ブラウザ操作としては正常だからです。しきい値を上げても営業のスコアは動かず、代わりに、通信環境が特殊な人やプライバシー設定の厳しいブラウザを使う本物の見込み客が落ちます。効果が出ないまま副作用だけが残ります。

ハジクを入れると本物の問い合わせが止まりませんか

既定はブロックではなくラベル付けです。判定に迷った送信は「要確認」に寄せ、営業と断定しません。まず観察モードで自社のフォームに何が届いているかを見てから、遮断の有無を決める運用を推奨しています。効果の目安は 99%+ の遮断で、残りおよそ 1% は人が判断する前提です。

内容を AI に渡すのは不安です

保管と判定を分けて考えてください。保管はブラウザ内で暗号化しており、運営者側で復号できません。判定のときだけ内容をそのまま AI に渡しますが、これは項目をマスクすると本物の申込が「要確認」に倒れてしまうためです。機微情報 5 種はブラウザ内で除去してから送ります。仕組みはE2EE とはで解説しています。

Akismet も入れています。3 つ重ねる意味はありますか

重なる部分と重ならない部分があります。Akismet はコメントスパム由来の判定に強く、日本語の B2B 営業メールは守備範囲の外側です。整理はハジクと Akismet の違いにあります。

まとめ:明日やること

  • 直近 1 か月に届いた送信を 50 件だけ開き、営業・本物・要確認の 3 つに手で分ける。営業が 2 割を超えていれば、reCAPTCHA では減らない層が溜まっています。
  • reCAPTCHA のしきい値は触らない。設定は既定のまま残す。
  • 内容判定を試すなら、まず観察モードで 2 週間。仕分けの手順全体は問い合わせフォームの営業メール対策【実務ガイド】にまとめてあります。

自社のフォームがどの状態かは無料診断で当たりが付きます。判定の中身は機能、費用は料金をご覧ください。試すなら14 日間の無料トライアル(クレジットカード不要)からどうぞ。

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