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スパム対策

ハジクとAkismetの違い|コメントスパム対策と、問い合わせフォームの選別

Akismet とハジクは判定に使う材料が違います。実際の送信例5通で得意領域と届かない領域を示し、Contact Form 7 で併用するときの注意点までまとめました。

公開 2026年7月23日更新 2026年7月23日12
目次INDEX
  1. 01Akismet とハジクは、生まれた問題が違います
  2. 02それぞれが判定に使っている情報
  3. 03観点別の比較
  4. 04送信例で見る、それぞれの守備範囲
  5. 05実フォームデータで見た「境界の外側」の量
  6. 06併用するときの構成と、Contact Form 7 での注意点
  7. 07よくある質問
  8. 08まとめ:明日やること

Akismet とハジクは、どちらが優れているかではなく「何を材料に判定しているか」が違う道具です。Akismet はブログのコメント欄に投げ込まれるスパムを止めるために生まれてその領域で長く実績を積み、ハジクは日本の問い合わせフォームに人が名乗って送ってくる営業メールを選別するために作られました。

この記事は、Akismet を入れているのに営業メールが減らない、あるいは両方入れるべきか迷っている、中小企業の問い合わせ担当者・Web 担当・情シスの方に向けたものです。設定手順ではなく、守備範囲の比較に絞って書きます。

Akismet とハジクは、生まれた問題が違います

同じ「スパム対策」の棚に並んでいても、解いた問題が違えば、判定の材料も出力も違います。

Akismetハジク
生まれた問題ブログのコメント欄に大量投稿されるスパム日本の問い合わせフォームに届く営業メール
判定の問いこれは世界的に見てスパムかこれはこの会社にとって対応すべき問い合わせか

Akismet は Automattic が提供する判定サービスで、コメント以外の投稿テキストにも使える API が公開されています。公式に Contact Form 7 や Gravity Forms などのフォームプラグインとの統合が挙げられており、問い合わせフォームでの利用は想定された使い方です(Akismet 公式 Features)。

私たち(ハジクを運営する GrowGroup株式会社)は、自社サイトを含む複数の実サイトにフォーム対策を設置して日々運用し、あわせて実際のフォーム送信データを分析しています。

それぞれが判定に使っている情報

Akismet は、送信された本文と周辺情報を自社サーバーに送り、集合知と照合して判定を返します。公式の comment-check API リファレンスにパラメータが明記されています。必須はサイトの URL と送信者の IP アドレス。任意でユーザーエージェント・リファラ・送信者名・メールアドレス・本文・送信日時などを渡せます。コンテンツ種別を示す comment_type には comment(ブログコメント)や forum-post と並んで contact-form(お問い合わせフォーム)という値が用意されています。

つまり見ているのは「この送信は、世界中から集まったスパムのパターンに合致するか」という軸です。IP・ユーザーエージェント・リンク・文面の一致度といった、発信側に共通して現れる特徴が中心になります。この設計はコメントスパムに対して極めて有効です。私たちが分析した実フォームデータでも、明らかなボット送信は事実上ゼロでした。そのサイトが使っていたのは reCAPTCHA v3 なので Akismet 自体の成績ではありませんが、入口で機械的な送信を止める層がきちんと働いていることは数字に出ています。

ハジク は、受け手側の文脈を含めて「営業か、本物の問い合わせか」を仕分けます。判定の設計は 16 軸(IP 属性・自動化検知・フィールド整合性・本文形態・AI 判定 ほか)で、実際にスコアリングへ効いているのは本文形態・フィールド整合性・AI 判定が中心です。16 軸すべてが今フル稼働しているわけではありません。

材料が違うので、出力も違います。ハジクの既定はブロックではなくラベル付けで、迷った送信は本物として扱います。誤りの代償が左右で釣り合っていないからです。営業が 1 通紛れ込んでも後から捨てられますが、本物が静かに消えた場合は、消えたこと自体を誰も観測できません。効果の表現も「99%+ 遮断、残り約 1% は人が判断」までにとどめています。

観点別の比較

理由まで含めて並べると、競合ではなく直列に並ぶ道具だとわかります。

観点Akismetハジクなぜそうなるか
判定の情報源世界中のサイトから集めた集合知個々のサイトの文脈と日本語の文面前者は共通性、後者は個別性を見る
定型のばらまき送信得意な領域ボット検知の軸は持つが主戦場ではない同一文面の大量送信は集合知が最も強い
人が書いた日本語の営業文設計上の対象外主戦場スパムに共通するシグナルが出ないため
言語言語横断のグローバルサービス日本語の商習慣・敬語表現に特化「突然のご連絡失礼いたします」の型は日本固有
受け手ごとの文脈判定に入らない業種・フォームの性格を加味する同じ営業文でも会社によって価値が変わる
判定後の扱い判定に従って隔離(Contact Form 7 ではメール送信を中止)ラベル付け(ブロックは選択制)本物の取りこぼしを最優先で避ける設計
誤判定の見直しスパム箱で確認(Contact Form 7 では保存用アドオンが前提)観察モード・判定履歴の確認消えたものは後から検証できないため
送信内容の保管判定のため本文を送信する仕様ブラウザ内で暗号化して保管保管データは運営者側でも復号できない
導入プラグイン + API キーscript タグ 1 行フォーム本体やプラグイン構成に触らない

ハジクの保管は暗号化されていて運営者側でも復号できませんが、AI 判定の瞬間だけは精度のために内容をそのまま渡します。クレジットカード番号・マイナンバー・銀行口座・パスポート番号・健康情報の 5 種はブラウザ内で除去してから送ります。「保管は読めない」と「判定時は見る」は別のレイヤです。詳しくはセキュリティにまとめています。

送信例で見る、それぞれの守備範囲

実際に届く 5 通を並べると、どこで境界が変わるかがはっきりします。

例1:同じ文面が世界中にばらまかれている送信

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これは Akismet の得意な領域です。同一の文面が短時間に世界中の何万というサイトへ投げられ、目的はリンクの設置。集合知と照合すれば一致します。ここで誤解しないでほしいのは、英語だから怪しいのではないという点です。日本企業の多くは海外顧客を持っており、英語の問い合わせは普通に来ます。判定材料は言語ではなく「同じ文面が広くばらまかれていること」です。

例2:人材紹介の営業

突然のご連絡失礼いたします。株式会社◯◯の△△と申します。貴社の中途採用求人を拝見し、ご紹介可能な候補者が複数おりますためご連絡いたしました。ご成約時の手数料は理論年収の◯%〜でご対応可能です。一度 30 分ほどお時間を頂戴できますでしょうか。

実在する会社の実在する担当者が、実在するメールアドレスから、正しい敬語で送っています。リンクは貼られておらず、同一文面が世界中にばらまかれているわけでもありません。コメントスパムに共通する特徴がひとつも出ないため、集合知型の判定では材料がありません。ハジク側は「求人を拝見しました」「理論年収の◯%」「お時間を頂戴」といった営業の型と、採用フォームという受け皿の性格を合わせて見ます。

例3:宛先ごとに書き分けられた制作・SEO の営業

貴社サイト(株式会社◯◯様)を拝見しました。現在、主要キーワードでの検索順位に伸びしろがある状態です。弊社では業界相場の 1/3 でのリニューアルが可能です。無料の簡易診断レポートをお送りできますので、ご興味あればご返信ください。

社名やサイト名を差し込んだ半個別の文面です。完全一致での照合は効きにくい一方、営業であることは日本語の文脈から明白です。

例4:本物の短い問い合わせ

型番 AB-2200 の在庫はありますか。10 台必要です。

実データで見ると、本物の問い合わせは短いのです。「この商品の在庫はありますか」レベルの一行が珍しくありません。逆に営業メールのほうが長く、体裁が整っています。短い・簡素=怪しい、という直感でルールを組むと、本物から先に落ちます。 どちらの道具を使うにせよ、ここを止めないことが最優先の要件です。

例5:営業だが、会社によっては本物

弊社は貴社と同じ分野の部材を扱っております。OEM でのお取り組みをご検討いただけませんでしょうか。

形式は営業ですが、調達先を探している会社にとっては商談の入口です。同じ企業から同じ文面が届いても、受け手の業種・状況・関係性で意味が変わります。私たちが送信元を企業単位でブラックリスト化しないのはこのためで、こうした送信は自動で捨てず、人が決める層に回します。見分け方の実務は迷惑メールの見分け方にまとめています。

実フォームデータで見た「境界の外側」の量

自動スパム対策の外側にある「人が書いた文面」は、実データで無視できない比率を占めていました。

ハジクが分析した、美容商社(国内最大手・上場)の実フォームデータ 1,894 件・約 20 か月分(問い合わせ 534 件、採用 149 件、汎用 1,211 件)。これらはすべて reCAPTCHA v3 を通過した送信です。簡易ヒューリスティックによる分類は次のとおりでした。

フォーム種別営業と判定本物らしい判定困難
問い合わせフォーム12.9%54.9%32.2%
汎用フォーム56.2%(強 48.9% + 中 7.3%)16.5%25.2%
採用フォーム(中途)73.1%

ただし、これはあくまで一社・一時点のサンプルです。業種・規模・フォームの性格によって比率は大きく変わります。 注目すべきは「判定困難」が 25〜32% ある点で、ここには例4のような本物の短い問い合わせが多く含まれます。この帯を機械的に処理しないことが、両方の道具に共通する設計上の要点です。

併用するときの構成と、Contact Form 7 での注意点

置き換えではなく、直列に並べるのが現実的です。

役割担うもの
1機械的な大量送信・定型スパムを止めるAkismet、reCAPTCHA など
2人が書いた文面を営業/本物に仕分けるハジク
3迷ったものを人が決める担当者

第 1 層を第 2 層で置き換えず、第 3 層を省かないことが要点です。ハジクは script タグ 1 行の追加で、プラグイン・DNS・フォームの action を触らないため、既存の Akismet 設定はそのままに足せます(機能)。

ただし、第 2 層が要らないフォームもあります。 次のどれかに当てはまるなら、Akismet(や reCAPTCHA)だけで足ります。

こういう状態なら理由
届くのが宣伝リンクだらけの機械的な投稿ばかりで、人が名乗った営業がほぼ来ない第 1 層で止まりきっている
月の送信が数件で、全部に目を通しても負担にならない道具を増やすより読んだほうが速い
守りたいのがコメント欄・レビュー投稿ハジクの対象外。Akismet の領域

これは感覚ではなく、直近 50 件を「営業/本物/迷う」に分けてみれば判断が付きます。営業と迷うがほとんど無ければ、いま何かを足す必要はありません。

Contact Form 7 で併用するなら、送信内容を保存する仕組みを必ずセットにしてください。Contact Form 7 は送信内容をデータベースに保存せず、保存用プラグイン Flamingo もその不足を埋めるために作られたと公式説明に明記されています(WordPress.org プラグインページ)。保存がない状態でスパム判定が起きると、その送信は管理者へのメールも飛ばず、どこにも残りません。本物が誤って落ちても気づけません。フォームタグへの設定と動作テストの手順はContact Form 7 公式ドキュメントAkismet は問い合わせフォームに効くのかにあります。

順番も決めておくと安全です。ハジク側は最初の 2 週間を何も止めない観察モードにして「もし止めていたら何が消えていたか」を見てからブロック可否を決め、Akismet 側は同じ 2 週間スパム箱を毎日確認します。いま入れているツール別の次の一手はスパム対策ツール比較に、営業メール対策の全体像は問い合わせフォームの営業メール対策(実務ガイド)に整理しています。

よくある質問

Akismet を外してハジクに置き換えるべきですか

その必要はありません。機械的な大量送信を止める層と、人が書いた文面を仕分ける層は役割が違い、外すと前者が手薄になります。

両方入れると二重判定で重くなりませんか

判定の走る場所が違うため、体感で問題になることはまずありません。Akismet は WordPress 側のサーバー処理、ハジクは送信ボタンを押した瞬間にブラウザから送られてサーバー側で判定します。

Akismet が本物をスパム判定していないか、どう確かめますか

Contact Form 7 の場合は Flamingo などの保存用プラグインを入れて、スパムとして分類された送信を目で見られる状態にしてください。保存の仕組みがないと、そもそも検証ができません。まず「静かに消える」状態をなくすのが先です。

費用はどう考えればよいですか

Akismet は個人ブログ向けの無料キーと商用向けの有料プランがあり、料金体系は変更されることがあるため公式サイトで最新の条件をご確認ください。ハジクはスタンダード ¥5,000/月(1 サイト)、ビジネス ¥10,000/月(サイト数無制限)で、件数・メンバー数はフェアユースで無制限です。詳細は料金をご覧ください。

reCAPTCHA との違いも知りたいのですが

reCAPTCHA は「送信しているのが人間か」を見る仕組みで、Akismet とはまた別の軸です。人間が手で送っている営業メールは通過します。詳しくはハジク と reCAPTCHA の違いにまとめました。

まとめ:明日やること

  • Contact Form 7 に Akismet を入れているなら、保存用プラグインが入っているかを今日確認する。入っていなければ入れる
  • スパム箱を 2 週間、毎日目で見る。本物が落ちていないかだけを確認する
  • 人が書いた営業メールの仕分けは別の層の仕事として切り出し、止めない観察モードで並行して試す

無料診断で自社のフォームに届いている送信の傾向を確認できます。実際の判定を見たい場合は、14 日間の無料トライアルを観察モードでお試しください。

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