ホームページの問い合わせを増やしたいなら、増やす施策と、届いたものを仕分ける仕組みを同時に作ってください。入口を広げると、本物の問い合わせと営業メールが同じ扉から一緒に増えるからです。この記事は、サイトの改善と問い合わせ対応の両方を抱えている中小企業の担当者に向けて、増やす基本と、増えた直後に必ず起きることを実データで書きます。
問い合わせを増やす施策は、営業メールを増やす施策でもある
フォームへの導線を強化すると、本物も営業も同じ入口から同じだけ増えます。
フォームは「誰でも送れる」ことが価値です。だから導線を増やし、項目を減らし、目立たせるほど、送信のハードルは全員に対して下がります。送る側が見込み客か、営業リストを持った代行業者かは、フォームの側では区別できません。
私たちは自社サイトを含む複数の実サイトで Hajik を運用し、送られてくるフォーム送信を毎日見ています。そこで一貫して起きるのは、施策で件数が伸びた月ほど「担当者が中身を読んで捨てる作業」も増える、という現象です。増やす計画を立てる時点で、この後始末をセットで決めておくと、後から慌てずに済みます。なお、いま件数がゼロに近いなら、増やす施策より先に問い合わせが来ない原因の切り分けを済ませてください。来ていないのではなく、届いていないだけのことがあります。
問い合わせを増やす基本は、導線・位置・項目数・入口の分割
小手先の文言変更より、導線の本数と入力項目の数を先に直すほうが効きます。
| 施策 | 具体的にやること | 副作用 |
|---|---|---|
| 導線を増やす | 全ページのヘッダーとフッターに固定ボタン。サービス紹介ページの末尾にも置く | 営業も送りやすくなる |
| 位置を変える | ファーストビューではなく「読み終えた直後」に置く。上部だけの設置はやめる | 特になし |
| 入力項目を減らす | 必須は「用件・連絡先・本文」まで。住所・部署・ふりがなは任意へ | 記載情報が減り、人の目での判断材料も減る |
| 電話・チャットを併用 | 電話番号と受付時間を明記。急ぎの相談を拾う | 営業電話も増える |
| 入口を目的別に分ける | 「お問い合わせ」一本をやめ、資料請求・見積り・無料相談・採用に分ける | 管理するフォームが増える |
このうち資料請求は、項目設計と資料の渡し方で結果が大きく変わるので資料請求フォームの作り方で個別に扱っています。
最後の「入口を分ける」は、増やす施策であると同時に、後の仕分けにも効きます。目的が書かれたフォームには、その目的に沿った具体的な内容が集まりやすく、逆に目的から外れた売り込みが目立つようになるためです。
なお、入力項目を増やして営業を遠ざけようとするのは避けてください。面倒な項目は営業側より先に、本物の見込み客をふるい落とします。私たちが最優先にしている原則も「本物を絶対に見失わない」です。
実データでは、汎用フォームの 56.2% が営業とみられる送信だった
用途が広いフォームほど営業比率が高く、これは件数が増えるほど効いてきます。
Hajik が分析した、美容商社(国内最大手・上場)の実フォームデータでは、3種類のフォーム・合計 1,894 件・約 20 か月分の送信は次のような内訳でした。いずれも reCAPTCHA v3 を通過した送信、つまり明らかなボットが除かれ、人が書いたものが残った状態です。
| フォームの用途 | 営業とみられる | 本物らしい | 判定困難 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせフォーム(534件) | 12.9%(確度高のみ) | 54.9% | 32.2% |
| 汎用フォーム(1,211件) | 56.2%(強48.9%+中7.3%) | 16.5% | 25.2% |
| 採用フォーム(149件) | 65.8% | — | — |
この分類は簡易なヒューリスティック(条件による機械的な仕分け)によるもので、業種・規模・フォームの性格によって比率は大きく変わります。あくまで一社・一時点のサンプルとして読んでください。
それでも方向性ははっきりしています。用件が限定された問い合わせフォームは営業が 12.9% にとどまる一方、「その他のご相談」を受ける汎用フォームでは営業が半分を超えました。採用フォームは中途採用に限ると 73.1% が人材サービスの営業で、しかも閑散期がほぼありません。入口を広げて数を稼ぐ設計は、この比率の悪いほうへ寄っていく設計でもあります。
件数が増えても、量の急増を「攻撃」と決めつけない
増えたこと自体は異常ではありません。判断するのは量ではなく中身です。
同じ実データを月別に見ると、問い合わせフォームの営業比率は平常月で 2〜3 割、12〜1 月には 0% 近くまで落ちる月もありました(上の表の 12.9% は確度の高い営業だけに絞った通年の数字で、月別集計とは取り方が違います)。件数も比率も、季節や施策で普通に動きます。テレビ露出や SNS で話題になった直後の急増は、多くの場合まったく正常なトラフィックです。ここで自動的にブロックを強めると、いちばん大事な瞬間に本物を落とします。
送信元で決めつけるのも危険です。実データでは同じ企業が同一フォームに 10 件以上送っている例が複数ありましたが、同じ会社でも、受け手の事業や時期によっては本物の取引相談になり得ます。「この会社は営業」という固定ルールではなく、その一通の中身で見るのが基本です。フォーム営業の全体像はフォーム営業とは何かで整理しています。
増やす施策と同時に、3層の仕分けを用意する
仕分けは「ボット」「人が書いた営業」「人の最終判断」の3層に分けると設計しやすくなります。
第1層はボット対策です。reCAPTCHA のような仕組みは、機械的な大量送信を落とす役割で今も有効に働いています。実データでも、reCAPTCHA を入れたサイトでは明らかなボットは事実上ゼロでした。ただし、人が手で書いて送る営業メールはそのまま通過します。役割が違うだけで、優劣の話ではありません。
第2層が、その通過してきた営業の選別です。Hajik はここを担当します。サイトに script タグを1行足すだけで、WordPress プラグインの導入も DNS 変更もフォームの改修もなしに、送信された瞬間に判定します。効果は 99%+ 遮断、残り約 1% は人が判断する前提です。
保管はエンドツーエンド暗号化(ブラウザ内で暗号化し、鍵を持つ人だけが読める方式)で、Hajik 側は保管データを復号できません。一方で、判定の瞬間だけは内容をそのまま AI に渡します。マスクすると具体的な申込内容が読めず、本物が誤判定されるためです。クレジットカード番号・マイナンバー・銀行口座・パスポート番号・健康情報の5種類は、AI に渡す前にブラウザ内で除去します。詳しくはE2EE とは何かを参照してください。
第3層は人です。AI が 80〜90% を自動処理し、残りを担当者が判断する。この前提で運用手順まで決めておくのが現実的です。手順の作り方は仕分けワークフローの記事にまとめています。
効果測定は「送信件数」ではなく「本物の件数」で見る
施策の良し悪しは、送信数ではなく、そのうち商談につながり得る件数の増減で判断します。
送信数だけを KPI にすると、営業メールが増えただけの月も「改善した」と見えてしまいます。これはフォームに限らず、広告・資料ダウンロード・セミナーなど獲得チャネル全体で同じように起きます。チャネル別の内訳と獲得数KPIの落とし穴はリード獲得の方法と「仕分け」の設計で整理しています。最低限、次の3つを分けて数えてください。
- フォーム到達数と入力開始数(GA4 の拡張計測機能では、フォームを操作した時点で
form_start、送信時にform_submitが自動計測されます。Google の説明) - 送信完了数(キーイベントとして設定)
- そのうち本物とみなした件数(仕分け後に人が数える)
計算例を1つ挙げます。前提は「施策前は月40件・本物率40%」「施策後は導線追加で月70件・ただし汎用の入口が増えて本物率30%」という仮定の数字です。この場合、送信数は 75% 増ですが、本物は 16 件から 21 件と 31% 増にとどまります。伸びていないわけではありませんが、送信数だけを見て評価すると成果を2倍以上に錯覚します。自社の本物率は、直近3か月の問い合わせを実際に数えて出してください。日々の対応工数の減らし方は問い合わせ対応の効率化で扱っています。
よくある質問
入力項目を減らすと、営業メールも送りやすくなりませんか
なります。ただし項目を増やして防ごうとすると、営業より先に本物の見込み客が離脱します。減らすのは正しく、増えた分は入口の分割と送信後の仕分けで受け止めるのが順序です。
問い合わせが急に増えました。攻撃でしょうか
量だけでは判断できません。実データでも月ごとの変動は大きく、露出やキャンペーンによる正常な増加が普通に起きます。中身を見て、営業・本物・判定困難の内訳がどう変わったかで判断してください。
電話番号を必須にすれば営業は減りますか
ほとんど減りません。営業側は自社の代表番号を問題なく記入します。一方で、電話されたくない見込み客は送信をやめます。差し引きで損になりやすい設定です。
メールソフトの件名ルールで振り分ければ十分ではないですか
定型文が変わるたびに効かなくなり、条件を強めるほど本物を誤って振り分けます。実データでも判定困難が 25〜32% あり、機械的なルールだけでは切り分けきれません。基本的な考え方は問い合わせフォームの営業メール対策の実務ガイドにまとめています。
まとめ:明日やること
- 自社フォームの必須項目を数え、3つ任意に変える。
- 「お問い合わせ」一本になっていれば、目的別の入口を1つだけ先に作る(資料請求か無料相談)。
- GA4 で
form_startとform_submitを確認し、入力開始と送信完了の差を把握する。 - 直近3か月に届いた問い合わせを、営業・本物・判定困難の3つに分けて数え、自社の本物率を出す。
- その数字を持って、増やす施策と仕分けのどちらを先にやるか決める。
自社の本物率と営業の内訳が分からないまま増やす施策を打つと、増えた工数の説明ができません。まずは無料診断で現状を確認し、実際の判定を見たい場合は14日間の無料トライアルで自社フォームに1行設置してお試しください。
(Hajik はお問い合わせフォームの営業メールを選別する日本語特化の B2B SaaS で、GrowGroup株式会社が運営しています)