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導入・運用

問い合わせ対応マニュアルの作り方|そのまま使える7章の目次と記載例

問い合わせ対応マニュアルを、そのまま使える7章の目次と各章の記載例で解説。各章に「迷ったときの原則」を1行入れる書き方、営業メールの扱いの明文化、3か月ごとの更新運用までまとめます。

公開 2026年7月21日更新 2026年7月23日9
目次INDEX
  1. 01マニュアルが使われなくなるのは、迷ったときの答えが書いていないから
  2. 02そのまま使える目次:7章構成
  3. 03第1〜5章:受付から記録までの記載例
  4. 04第6〜7章:エスカレーションと例外対応の記載例
  5. 05営業メールの扱いは、章として独立させて明文化する
  6. 063か月に一度、判断のズレを拾って更新する
  7. 07よくある質問
  8. 08まとめ:明日やること

問い合わせ対応マニュアルは、手順を並べただけでは使われません。読まれるのは「迷ったときにどうするか」が1行で書いてあるものだけです。この記事では、そのまま流用できる7章の目次と各章の記載例、抜けがちな営業メールの扱いの決め方をまとめます。対象は担当1〜3名で問い合わせを回している中小企業のWeb担当・情シス・総務の方です。

なお本記事には法令の話が出てきますが、一般的な情報であり法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご相談ください。

マニュアルが使われなくなるのは、迷ったときの答えが書いていないから

問い合わせ対応マニュアルが開かれなくなる最大の原因は、正常系の手順しか書いていないことです。

「受信したら24時間以内に返信する」「内容に応じて担当部署へ転送する」。ここは書いてあっても実務で手が止まりません。止まるのは、営業メールか本物か判断がつかないとき、内容が2つの部署にまたがるとき、送信者が明らかに怒っているとき、本文に他人の個人情報が書かれているときです。どれも例外です。

例外の扱いが書かれていないと、担当者は毎回上長に聞くか、自己流で処理します。前者は上長の時間を食い、後者は人によって対応が変わります。そこで以下の目次では、各章に「判断に迷ったときの原則」を1行だけ入れます。これが本体で、手順は付属物です。

なお、業務マニュアルの整備には法的な位置づけもあります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、法第23条の安全管理措置として「個人データの取扱いに係る規律の整備」を、法第24条の従業者の監督として教育・研修を挙げています(個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編))。

そのまま使える目次:7章構成

問い合わせ対応マニュアルは、受付から例外対応まで7章あれば足ります。A4で7〜10枚が上限です。

書くこと迷ったときの原則(1行)
1. 受付窓口の一覧、確認する時刻、受信の記録開始見落とすより二重対応のほうがまし。迷ったら記録する
2. 一次判定分類の基準、判定にかける時間の上限判定に1分以上かかったら「要確認」に置く
3. 担当割り分類ごとの担当、不在時の代理担当が決まらないものは、その日のうちに窓口責任者へ戻す
4. 返信返信期限、テンプレの置き場所、署名テンプレに違和感があるなら、テンプレを使わず一言添える
5. 記録記録する項目、保管場所、保管期間終わってから書くのではなく、着手時に1行書く
6. エスカレーション上げる条件、連絡先、初動上げるか迷った時点で上げる。判断は上げた先の仕事
7. 例外対応クレーム、再送、個人情報、不審な内容前例がないものは自分で決めない。7章に追記して終える

「迷ったときの原則」の列だけを1枚に印刷し、担当者の机に置いてください。実際に参照されるのは、ほぼこの1枚です。

第1〜5章:受付から記録までの記載例

前半の5章は「誰が、いつ、何を見て、どこへ渡し、何を残すか」を固定する章です。

第1章(受付)には窓口の全数を書きます。 問い合わせフォームだけでなく、代表メール、採用フォーム、電話メモ、SNSのDMまで並べます。数え漏らした窓口は、誰も見ない期間が生まれます。

確認する窓口:問い合わせフォーム / 採用フォーム / info@ 宛メール / 代表電話のメモ 確認する時刻:平日 9:30・13:00・17:00(3回) 受信したら、内容を読む前に管理表へ1行追加する(受信日時・窓口・件名だけでよい)

「読む前に1行足す」がコツです。読んでから記録する運用は、忙しい日に記録だけが抜けます。

第2章(一次判定)には分類と時間の上限を書きます。 分類は「本物(要返信)/営業/要確認/対応不要」の4つで十分です。基準の作り方は問い合わせ対応を効率化する4ステップで整理しているので、マニュアルには結論だけを転記します。

判定は1件30秒を目安にする。1分を超えたら中身を追わず「要確認」に置いて次へ進む 判定は「返信が必要か」だけで決める。良い問い合わせかどうかは判定しない

第3章(担当割り)には不在時の代理を必ず書きます。 担当者名だけのマニュアルは、その人が休んだ日に機能しません。「営業分類は担当を置かない(週1でまとめて確認)」のように、担当を置かないと明記するのも有効です。

第4章(返信)にはテンプレ本文を書かず、置き場所だけを書きます。 本文を埋め込むと、文面を直すたびにマニュアルの改訂が必要になり、どちらかが必ず古くなります。

返信テンプレ:共有フォルダ「問い合わせ対応/返信テンプレ」に格納 一次返信の期限:営業日で1日以内。回答に時間がかかる場合も「確認中です」は出す 断りの文面は所定のテンプレを使う。独自の文面で応じない

営業への断り文面は営業メールの断り方にテンプレをまとめてあります。マニュアルからは格納場所だけを指しておくと、更新が1か所で済みます。

第5章(記録)には、記録する列と保管期間を書きます。 列は10列程度が限界で、それ以上増やすと入力されなくなります。設計例は問い合わせ管理をエクセルで回す方法にまとめました。

記録する場所:問い合わせ管理表(共有ドライブ) 記録する項目:受信日時・窓口・分類・担当・状態・対応日・備考 保管期間:2年。期限を過ぎた行は年1回まとめて削除する

保管期間を書いていないマニュアルは多いのですが、個人情報を含む記録を無期限に持つ理由は普通ありません。削除まで含めた考え方は問い合わせフォームの個人情報の扱い方にまとめています。

第6〜7章:エスカレーションと例外対応の記載例

マニュアルが実際に開かれるのは、ほぼこの2章です。

第6章(エスカレーション)は「上げる条件」を箇条書きで固定します。 「必要に応じて上長に相談」とだけ書いたマニュアルは、相談されないマニュアルです。

次のいずれかに当てはまったら、判断せず窓口責任者に転送する ・金銭の請求、返金、損害賠償に触れている ・法的措置、行政機関、報道機関への言及がある ・本文に他人の個人情報や、口座番号・カード番号が書かれている ・個人情報が外部に漏れた可能性を示す内容がある ・上記に当てはまるか迷った

最後の1行を必ず入れてください。これがないと、担当者は「上げるべきか」を自分で判断させられます。

漏えいが疑われる連絡は、社内対応が法定の期限に直結します。個人情報保護委員会の案内では、要配慮個人情報を含む場合、財産的被害のおそれがある場合、不正の目的による行為の場合、本人の数が1,000人を超える場合の4類型が報告対象とされ、速報は発覚から3〜5日以内、確報は30日以内(不正の目的による場合は60日以内)とされています(漏えい等の対応と報告について)。マニュアルには「即日、窓口責任者へ電話で連絡」とだけ書けば十分です。

第7章(例外対応)は、書き足す前提の章です。 空欄で公開して構いません。「前例のない問い合わせが来たら、対応した人が3行足す」というルールだけを先に決めます。半年後には、ここが最も読まれる章になります。

営業メールの扱いは、章として独立させて明文化する

営業メールの扱いは、担当者が最も迷い、最も個人差が出る領域です。「誰が判断するか」「迷ったらどうするか」を明記します。

Hajik では自社サイトを含む複数の実サイトにフォーム判定を設置して運用し、実フォームデータの分析も行っています。Hajik が分析した、美容商社(国内最大手・上場)の実フォームデータでは、問い合わせフォームに届いた534件のうち営業が12.9%、本物らしいものが54.9%で、残る32.2%はどちらとも決めきれない「判定困難」でした。採用フォームはさらに極端で、全体の65.8%、中途採用に絞ると73.1%が人材サービスの営業です。いずれも簡易なヒューリスティック(文面の特徴による機械的な分類)で仕分けた結果であり、業種・規模・フォームの性格で比率は大きく変わります。あくまで一社・一時点のサンプルです。

重要なのは12.9%や73.1%という数字ではなく、3割前後が「どちらとも言えない」まま残る点です。この3割の扱いを決めていないと、現場で必ず判断が割れます。記載例は次のとおりです。

営業メールの扱い ・判断するのは受付担当。上長の確認は不要 ・営業と判断したものは返信不要。管理表に「営業」と記録して閉じる ・迷ったら本物として扱う。「要確認」に置き、担当営業に回す ・同じ会社から複数回届いても、その会社を一律で営業扱いにはしない。都度中身で判断する ・断る場合は所定のテンプレを使う。独自の文面で応じない

太字の「迷ったら本物として扱う」が、唯一暗記してほしい行です。営業メールを1件見逃しても損失はほぼゼロですが、本物の問い合わせを1件捨てると商談が消えます。損失が非対称なので、判断も非対称にしておくのが合理的です。

最後の「一律で営業扱いにしない」も効きます。実データでは、同じ企業が同一フォームに10件以上送っている例が複数ありました。送信元をリスト化して弾きたくなりますが、同じ会社から本物の問い合わせが来る可能性は常にあります。判断は送信元ではなく中身で行う、と書いておいてください。仕分けの三層構造(入口・自動仕分け・人の最終判断)は問い合わせフォームの営業メール対策の実務ガイドにまとめています。

3か月に一度、判断のズレを拾って更新する

マニュアルの更新は、文章の見直しではなく「実際の判断とマニュアルのズレを拾う」作業です。

作って終わりになるマニュアルの共通点は、更新の担当者と時期が決まっていないことです。次の3行を最終ページに書いてください。

改訂:3か月に一度、窓口責任者が実施(1・4・7・10月の第1営業日) 見るもの:直近3か月の管理表のうち「要確認」と「例外」の行だけ やること:同じ迷いが2回以上出ていたら、その判断を該当章の原則に1行足す

見直すのは全文ではなく、「要確認」に落ちた行と第7章の例外だけです。同じパターンが2回出てきたら、それは例外ではなく仕様なので原則に昇格させます。逆に、1年間一度も参照されなかった記述は削ります。追記と削除は同じ回で行ってください。

件数が多くて見直しが追いつかない場合は、機械で仕分ける層を足す選択肢もあります。Hajik はフォーム送信の瞬間に内容を判定してラベルを付けます。ただし遮断できるのは99%+で、残る約1%は人が判断する前提の設計です。第7章は機械を入れても残ります。

よくある質問

担当が1人しかいない場合もマニュアルは必要ですか

必要です。1人運用では引き継ぎより「自分の判断がブレないため」に効きます。とくに営業メールの扱いは、忙しい日と暇な日で基準が変わりがちです。

AIツールを入れればマニュアルは不要になりますか

なりません。ツールが処理できるのは分類までで、「この分類のとき誰が何をするか」は社内で決めるしかありません。むしろ導入後は、分類が自動で付く前提で書き直す必要があります。

営業メールの判断を担当者に任せて大丈夫ですか

一次判定は任せて構いません。ただし「迷ったら本物扱い」と「営業と判断したものは返信不要」の2行は明記してください。担当者が判断を抱え込むことも、勝手に断ることもなくなります。

まとめ:明日やること

  1. 窓口を全部書き出す。フォーム、代表メール、採用、電話メモ、SNSまで数える
  2. 上の表の「迷ったときの原則」7行を1枚に印刷し、担当者の机に置く
  3. 営業メールの章に「迷ったら本物として扱う」「判断するのは受付担当」の2行を書く
  4. 最終ページに改訂の月(1・4・7・10月)と担当者名を書き込む
  5. 第7章は空欄のまま公開する。埋めるのは運用開始後でよい

自社のフォームに営業メールがどれくらい届いているかは無料診断で確認できます。仕分けを機械側に寄せるかどうかは、14日間の無料トライアルで実際の判定結果を見てから決めてください。マニュアルは、その結果を見てから書くほうが具体的になります。

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